科目名
成人看護学(終末期)
授業の目的
終末期にある成人患者とその家族に対する全人的な理解と支援を深め、がん治療、緩和ケア、意思決定支援、予期悲嘆など、終末期特有の看護の知識と技術を習得する。
到達目標
- 終末期の患者と家族に生じる身体的・心理的・社会的・スピリチュアルな問題を理解し、看護の視点から説明できる。
- がん治療における放射線療法・化学療法・副作用とその看護について説明できる。
- 緩和ケアの理念と疼痛管理に関する基礎的知識を習得できる。
- アドバンスケアプランニングやリビングウィルに基づいた意思決定支援の重要性を理解できる。
- 予期悲嘆を含む家族支援とグリーフケアについて説明できる。
授業構成(全10回・各90分)
第1回:終末期医療と看護の概要
- 「終末期」とは何か、医学的・社会的な定義と背景
- 終末期患者の身体的変化(食欲低下・倦怠感・疼痛など)
- 終末期における心理的・社会的・スピリチュアルな課題
- 終末期看護に求められる倫理的配慮(自己決定の尊重、家族との調整)
第2回:がん患者に対する終末期看護
- がん終末期患者に見られる特徴的な症状(呼吸困難、倦怠感、疼痛)
- がんによる心理的反応(不安、死の受容プロセス)
- 看護師による患者・家族への関わりの実際
- ホスピスケアとの違い、在宅療養中の支援
第3回:放射線療法における看護
- 放射線療法の目的(根治・緩和)と基本的な種類(外部照射・内照射)
- 治療スケジュールと治療環境(照射室の特徴、患者の不安)
- 有害事象:皮膚炎、粘膜炎、疲労感などの説明と看護
- 患者への事前説明、ケア継続の支援
第4回:化学療法における看護
- 化学療法の目的と主な薬剤(シスプラチン、ドキソルビシンなど)
- 副作用と対応:悪心・嘔吐、骨髄抑制、脱毛、倦怠感
- 治療中のセルフケア支援と副作用モニタリング
- 治療継続への動機づけと心理的サポート
第5回:アナフィラキシーショックとインヒュージョンリアクションへの対応
- アナフィラキシーショックの定義、原因、初期症状(皮膚症状、呼吸困難、血圧低下)
- インヒュージョンリアクション(点滴投与に伴う免疫反応)の特徴
- 緊急時の初期対応(アドレナリン投与、バイタルサイン管理)
- 医師との連携、家族への説明、記録のポイント
第6回:緩和ケアの定義と多職種連携
- 緩和ケアの定義(WHO)と対象となる疾患・患者層
- 「治療の終了」ではなく「症状緩和と生活の質向上」を目的とすることの理解
- 緩和ケアチームの構成と看護師の役割
- 入院・在宅における緩和ケアの展開
第7回:全人的苦痛(トータルペイン)への理解
- トータルペイン:身体的、心理的、社会的、スピリチュアルな苦痛
- スピリチュアルペインの概念と支援(存在の意味の喪失、孤独感など)
- 看護師による傾聴と寄り添いの実践
- 患者の「人生をふりかえる」ことの意義と関わり
第8回:疼痛のメカニズムとコントロール
- 疼痛の種類(侵害受容性・神経障害性・突発性痛)と評価方法(NRS、VAS)
- 疼痛治療の原則(3段階除痛ラダー、レスキュードーズ)
- オピオイドの使用(モルヒネなど)と副作用のマネジメント
- 非薬物的療法(マッサージ、音楽療法)との併用
第9回:意思決定支援とアドバンスケアプランニング(ACP)
- ACPとは:人生の最終段階に備えた話し合い
- リビングウィルとアドバンスディレクティブの違いと活用
- 家族や多職種と行う意思決定支援の流れ
- 看護師が果たすべき役割と倫理的配慮
第10回:家族支援と予期悲嘆への看護
- 予期悲嘆とは何か(患者が死を迎える前から始まる家族の悲しみ)
- 家族が抱える苦悩(無力感、後悔、怒り)とその受容プロセス
- 看護師ができるグリーフケア(話を聴く、非言語的サポート)
- 死別後のケアと地域資源の活用
本教材のご利用にあたって
1. 教材の目的と活用方法について
本教材は、授業設計の「骨格」としてご活用いただくことを目的に作成しております。各教育機関のカリキュラムや学生の学習レベルに応じて、柔軟に調整・アレンジしていただくことを推奨しております。スライドや板書の追加、発問の工夫など、先生方それぞれの教育スタイルに合わせてご利用ください。
2. AIツールを活用した資料作成について
本教材は、AIツールを活用して初稿を作成し、その後、看護教員としての専門的な視点を反映させながら、内容の精査と調整を行っております。効率と質の両立を意識し、現場で実際に使いやすい資料となるよう整えておりますが、ご使用にあたっては、必ずご自身で内容やエビデンスをご確認のうえ、授業内容に適した最終的な調整をお願いいたします。
3. 商用利用および転載・再配布の禁止について
本教材は、非営利の教育目的に限定して提供しております。営利目的での利用や、本教材の文章・構成・形式などを無断で転載・複製・再配布すること、あるいは改変しての販売・提供などは固くお断りいたします。教育目的以外でのご利用や二次利用をご希望の場合は、事前にご連絡いただき、書面での許諾を得ていただく必要があります。
免責事項
- 本教材は、最新の情報に基づいて十分配慮のうえ作成しておりますが、医療・看護分野の知見は日々変化しております。ご利用の際には、最新のガイドラインや教科書、信頼性のある文献をご参照いただき、必要に応じて内容の確認や修正をお願いいたします。
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