成人看護学概論 シラバス例

成人看護学

■科目名:成人看護学概論

目的


成人期にある人々の健康課題を理解し、成人看護の対象となる人々の特徴や看護の基本的視点を把握することで、成人期における多様な健康レベルに応じた看護実践の基盤を養う。

目標

  1. 成人期の身体的・心理的・社会的特徴を説明できる。
  2. 成人に生じやすい症状や健康問題の特徴と看護の視点を理解できる。
  3. 成人の健康観とヘルスプロモーションの考え方を説明できる。
  4. 成人看護における教育的支援(アンドラゴジー)について理解できる。
  5. 成人のライフステージに応じた多様な看護のあり方を考察できる。

講義内容(全10回)


第1回:成人期とは何か

  • 成人期のライフステージとしての位置づけ(青年期との違い、中年期、壮年期、老年期への移行)
  • 成人に求められる社会的役割(就労、家庭、育児、介護など)とその負担
  • 成人期にみられる心理的課題(アイデンティティ、孤独、ストレス、自己実現)
  • 看護職として、成人が抱える生活課題をどのように捉え、支援するかを考察する

第2回:成人期の身体的特徴

  • 加齢による身体機能の変化(循環器系:動脈硬化、呼吸器系:肺活量の低下、運動器系:筋力低下、視覚・聴覚の衰えなど)
  • 自覚しにくい身体機能の変化への気づきを促す支援の重要性
  • 健康診断やスクリーニング検査の役割と受診行動の支援
  • 生活習慣との関連(運動不足、食生活、喫煙・飲酒習慣)と予防的支援の実際

第3回:成人の健康観とセルフケア

  • 健康とは何か:WHOの定義と現代的な健康観の多様性
  • 「病気であっても健康に生きる」という視点(クオリティ・オブ・ライフ、ウェルビーイング)
  • セルフケア能力の評価(オレムのセルフケア理論など)と、自己管理支援の方法
  • 高血圧や糖尿病などの慢性疾患を持つ成人への看護支援の事例検討

第4回:病みの軌跡と看護

  • 病気(disease)・病い(illness)・疾病構造(sickness)の違いと相互関係
  • コービックとストラウスによる「病みの軌跡(illness trajectory)」の枠組み(予測可能性・進行性・コントロール)
  • 急性疾患、慢性疾患、終末期疾患の病みの軌跡の比較と看護の視点
  • 病気とともに生きる人々の語り(ナラティブ)から看護のかかわりを考察する

第5回:症状別看護の視点①:痛み・発熱

  • 痛みの種類(急性痛、慢性痛、神経障害性疼痛など)の理解
  • NRSやVASなどの痛みのアセスメントスケールの活用
  • 解熱剤や鎮痛薬使用時の看護の注意点
  • 発熱による体温調節機能への影響とクーリングのタイミング・方法の工夫
  • ケーススタディ:がん性疼痛に悩む患者への支援を考える

第6回:症状別看護の視点②:呼吸困難・倦怠感

  • 呼吸困難の分類(労作性呼吸困難、安静時呼吸困難)と原因疾患の理解(COPD、心不全、喘息など)
  • 呼吸困難感を訴える患者の心理的苦痛と対応
  • 倦怠感(fatigue)のアセスメント方法(Brief Fatigue Inventoryなど)
  • 酸素療法、呼吸介助、体位調整、エネルギー保存の工夫など具体的援助
  • 生活の中でのQOL維持と症状緩和をどう看護が支えるか

第7回:成人とセクシュアリティ

  • 性のライフサイクル:妊娠・出産・避妊、更年期、性機能障害など
  • 性に関する価値観と文化的背景の違い(性教育、宗教、ジェンダー)
  • LGBTQ+や性の多様性に関する理解と看護職としての態度
  • セクシュアリティに関連する看護実践(陰部洗浄、排泄介助、更衣など)での配慮
  • 性的な悩みを訴える患者への対応の基本姿勢と相談支援体制

第8回:ヘルスプロモーションと健康日本21

  • ヘルスプロモーションの定義と5つの行動方針(オタワ憲章)
  • 健康日本21(第二次)の重点項目(生活習慣病予防、栄養、運動、こころの健康など)
  • 個人・家族・地域を対象とした健康支援のアプローチ
  • 保健師・訪問看護師・地域包括支援センターとの連携実例
  • 生活習慣の改善を支える動機づけ面接法(MI)とその実践例

第9回:成人看護における教育的支援

  • アンドラゴジー(成人教育学)とペダゴジー(児童教育学)の違い
  • 成人学習者の特徴(自律性、経験の活用、問題解決志向)
  • 退院指導、セルフモニタリング指導、服薬指導などの場面での教育支援
  • 患者の理解度・学習スタイルの把握と支援内容の工夫
  • 家族も対象とした教育支援の必要性とその具体的な関わり方

第10回:成人看護における倫理と専門性

  • 自己決定支援と意思決定能力のアセスメント
  • 倫理的ジレンマ(たとえば、治療継続 vs 苦痛緩和)への対応方法
  • インフォームド・コンセントとアドバンス・ケア・プランニング(ACP)
  • 多職種との連携の中での看護師の役割と専門性
  • 倫理綱領や看護師の責任に基づいた行動の重要性

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本教材は、授業設計の「骨格」としてご活用いただくことを目的に作成しております。各教育機関のカリキュラムや学生の学習レベルに応じて、柔軟に調整・アレンジしていただくことを推奨しております。スライドや板書の追加、発問の工夫など、先生方それぞれの教育スタイルに合わせてご利用ください。

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