科目名
基礎看護学概論
授業の目的
看護の概念や歴史的背景、専門職としての役割や倫理、法制度など、看護の基盤となる内容を理解し、看護実践に向けた基礎的視点を養う。
到達目標
- 看護の定義や成り立ち、理論的背景を説明できる。
- 看護の基本的役割や専門性、倫理的視点について理解できる。
- 健康の概念や社会的背景と関連づけて、看護の意義を考察できる。
- 看護師の職務や法的責任について理解し、専門職としての自覚を深めることができる。
授業内容(全10回)
第1回 看護とは何か
- 「看護」という言葉の語源と歴史的意味を学ぶ
- 医療職・介護職・看護職の役割の違いを整理する
- 看護の対象(個人・家族・集団・地域)について理解する
- 看護の目的としての「健康の保持・増進、回復、安楽な死」について考察する
- 看護職が果たす役割を、実際の場面(病院・地域・学校等)と関連づけて理解する
第2回 ナイチンゲールの生涯と看護への貢献
- ナイチンゲールの人物像と時代背景(ヴィクトリア朝、上流階級の女性像)を知る
- クリミア戦争での看護活動と統計学の活用(「ばらの図」)を学ぶ
- ナイチンゲールの「看護改革」:衛生・環境の重要性と近代看護の創設
- ナイチンゲール看護学校の設立と教育理念
- 現代看護にどのように影響を与えているかを考察する
第3回 『看護覚え書』にみる看護の原点
- 『看護覚え書』の目的と構成を確認する
- 「自然治癒力を妨げない援助」の考え方を理解する
- 環境(換気・清潔・音・光・食事)を整える重要性について検討する
- ナイチンゲールが患者に寄り添う姿勢から導き出した看護観を読み解く
- 実習や日常生活援助への応用可能性を考える
第4回 看護の定義と国際的視点
- ICNによる看護の定義(2013年版)とその意義を理解する
- 日本看護協会による看護の定義(2003年)を読み取り、キーワードを抽出する
- 定義から読み取れる「看護の本質(人間、環境、健康、看護)」を整理する
- 看護の定義の歴史的変遷と、それに伴う看護実践の変化を考察する
- 看護の定義を用いて「自分にとっての看護とは何か」を言語化する
第5回 ヘンダーソンの看護論
- ヘンダーソンが提唱した看護の定義(補助的役割、独立した実践)を解説する
- 14の基本的ニードを具体的に確認し、それぞれに対応する看護援助を考える
- ヘンダーソンのモデルと生活行動(ADL・IADL)との関連性を理解する
- 日常生活援助との接点を踏まえて、実践への応用を考察する
- ケースを通してニード充足の観点から看護を分析するワークを行う
第6回 看護の基本となるもの
- 知識・技術・態度・判断力がどのように統合されるかを考察する
- 看護職に必要とされる能力(観察力・洞察力・関係形成能力)を具体的に示す
- 看護過程(アセスメント・計画・実施・評価)の流れと論理的思考の必要性を学ぶ
- 実習前に必要な態度形成(倫理、共感、責任)を振り返る
- シミュレーションや事例から「よい看護とは何か」を考える
第7回 専門職としての倫理と責任
- 看護倫理綱領(日本看護協会)を読み解き、基本理念を整理する
- 倫理的ジレンマとは何か:尊厳、自己決定、利益相反の場面を取り上げる
- インフォームド・コンセントの実際と患者の権利
- 看護記録、情報管理における守秘義務と倫理
- 専門職としての責任と説明義務を、事例を通して理解する
第8回 健康のとらえ方と看護
- WHOの健康定義をもとに「健康とは何か」を多角的に検討する
- 健康観の変化(病気中心 → QOL重視)と看護の関わり方の変化
- ヘルスプロモーションの概念と看護への活用(一次〜三次予防)
- 健康の社会的決定要因(SDH)と格差の問題を取り上げる
- 「患者の健康観に寄り添う」とはどういうことかを話し合う
第9回 国民の健康状態と社会の変化
- 人口構造の変化(高齢化・少子化)と健康問題
- 死因の推移、生活習慣病の増加、健康寿命との関係
- 健康日本21や地域包括ケアシステムなどの政策的背景
- 健康格差や社会的孤立など、現代の健康課題を統計資料から読み解く
- 看護職が果たすべき公衆衛生的役割を明確にする
第10回 保健師助産師看護師法と看護師の法的責任
- 保助看法の制定背景と構成(免許、業務、守秘義務等)を確認する
- 看護師・准看護師・保健師・助産師の資格と職務の違いを理解する
- 医師の指示下における看護師の業務範囲と責任
- 医療事故や過失、看護師の法的責任を事例から学ぶ
- 安全な医療提供体制と法制度の関係について考える

ナビ先生
看護教員に役立つノウハウがたくさんあるので、他の記事も見ていってくださいね✨