看護師として働いていて、夜勤がきついと感じたことはありませんか。
夜勤明けでへとへとなのに委員会や会議が入っている、休みの日まで研修や勉強会に呼ばれる、人手不足で忙しいのに記録や書類仕事は増えていく。患者さんのために頑張りたい気持ちはあっても、この働き方を今後何十年も続けるイメージが持てず、モヤモヤしている方は少なくないはずです。
私自身も臨床で働くなかで、これからのキャリアについて考える時間が増え、その選択肢の一つとして看護教員という働き方にたどり着きました。看護師としての経験を土台にしながら、今度は学生を育てる立場で看護に関わる。そんなキャリアチェンジの形もあります。
とはいえ、看護教員に興味を持っても、実際のところは分からないことだらけです。どうすればなれるのか、給料はどれくらい変わるのか、授業や実習指導は大変なのか、残業はどの程度あるのか。求人票やパンフレットだけでは見えてこない部分も多いでしょう。

この記事では、看護師から看護教員に転身した筆者自身の経験をもとに、看護教員になるまでの流れ、必要な資格や経験年数、気になる年収、1日の仕事の流れまで、できるだけリアルな情報をまとめました。看護教員というキャリアを検討している看護師の方はもちろん、すでに看護教員として働いていて他校の状況と比べてみたい方にも参考にしていただける内容です。
この記事を書いた人
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1. 看護教員になるには?資格条件と4つのステップ
看護教員は誰でもすぐになれる仕事ではなく、資格要件や臨床経験年数など、いくつかの条件を満たす必要があります。ここでは、看護師から看護教員になるまでの流れを4つのステップに分けて説明します。
STEP1 正看護師の免許を取得する

看護教員になるための大前提として、正看護師の資格が必要です。准看護師の資格だけでは専任教員にはなれません。
ただし、免許を持っているだけでは不十分です。学生に教える立場になると、なぜその看護技術や手順が必要なのか、根拠を持って説明できる知識が求められます。臨床では感覚的にできていたことも、教える立場になると理論から説明し直す必要が出てきます。
筆者の失敗談:学生時代、ベッドメイキングの練習をまあできるだろうと軽く考えて手を抜いていました。ところが教員になり、学生の前で実際にデモンストレーションをすることになった際、シーツの角がきれいに決まらず、冷や汗をかいた経験があります。基礎技術は、教える立場になってから改めてその重要性を痛感するものだと実感しました。
STEP2 臨床経験を5年以上積む

看護学校の専任教員になるには、原則として5年以上の臨床経験が必要とされています。この期間にどのような経験を積んできたかは、採用選考でもよく見られるポイントです。
特に強みになりやすいキャリアとして、以下のようなものが挙げられます。
いずれか一つの領域を極めることも大切ですが、複数の領域を経験していると、学生への説明の幅が広がりやすくなります。
STEP3 教員養成講習会または大学院で教育を学ぶ

看護教員として働くには、看護の専門知識に加えて、教育に関する内容も学ぶ必要があります。学び方には、大きく分けて2つのルートがあります。
ルートA:教員養成講習会(約6か月)
働きながら通う、あるいは休職して受講するケースが一般的です。学校によっては、先に看護学校に採用したうえで、給料を支払いながら講習会に通わせてくれるところもあります。
ルートB:大学院(修士課程)
将来的に看護大学の教員や教授を目指したい方にとっては、こちらが近道になります。
筆者自身はルートAで看護教員になりました。具体的には、先に看護学校へ就職し、その後で教員養成講習会を受講する形です。
なお、看護教員として働くために、教員養成講習会の受講は必須ではありません。臨床経験が5年以上あれば、講習会を受けていなくても看護教員の仕事に就くことは可能です。そのため、最初から気負いすぎず、まずは看護学校の求人に応募してみるという選択肢も十分にあり得ます。
STEP4 看護学校の教員採用に応募する

条件を満たしたら、いよいよ採用試験への応募です。面接では、次のような質問がよく聞かれます。
面接を受ける前に、求人を出している学校へ、思い切って見学に行ってみることをおすすめします。実際に学校を訪れることで、教員や学生の雰囲気、施設や設備など、求人票だけでは分からない情報を得られます。
あわせて、給与体系や休日、残業の状況、実習や授業の進め方など、気になる点を直接質問してみるのもよいでしょう。働き始めてから思っていた職場と違ったという事態を避けるためにも、面接前に自分の目で学校の様子を確かめておくことが大切です。
2. 看護教員の年収はどれくらい?勤務先別の目安
看護教員に転身する際、多くの人が気になるのが年収の変化です。夜勤がなくなる分、給料がどう変わるのかは切実な悩みだと思います。
正直なところをお伝えすると、夜勤手当がなくなる分、夜勤をバリバリこなしていた頃と比べて月収自体は下がる可能性があります。一方で、ボーナスが安定して支給されることや、生活リズムが規則正しくなることを踏まえると、トータルで見れば満足しているという教員が多いのも事実です。
筆者の場合、看護教員として7年目の時点での給与は、手取りで月27万円ほど、賞与は45万円から50万円程度を年2回もらっていました。あくまで一つの実例として参考にしてください。
勤務先別の年収の目安は、次の表のとおりです。
| 勤務先 | 年収の目安 | 特徴 |
| 看護専門学校 | 約400万〜600万円 | 現場に近い感覚で教えられる |
| 短期大学 | 約500万〜700万円 | 地域密着型の学校が多い |
| 看護大学 | 約600万〜800万円 | 研究や論文執筆も仕事の一部になる |
同じ看護教員でも、勤務先の種別や地域、経験年数、役職の有無によって年収には幅があります。あくまで目安として捉えてください。
年収を上げるための考え方
看護教員として年収を上げていきたい場合、次のような方向性が考えられます。
いずれもすぐに実現できるものではありませんが、キャリアの方向性を考えるうえでの参考にしてみてください。
3. 看護教員の1日の仕事内容・スケジュール
看護教員の仕事は、大きく分けて講義がある日と実習指導がある日で1日の流れが変わります。
講義がある日の1日
- 08:30 出勤、授業資料の最終チェック
- 09:00 講義開始。学生の反応を見ながら進める
- 12:00 ランチ休憩(学生から相談を受けることもある)
- 13:00 演習(ベッドサイドでの技術指導など)
- 16:30 会議、レポートの添削、翌日の準備
- 18:30 退勤
実習指導の日の1日
- 08:00 実習先の病院へ直行
- 09:00 学生が受け持つ患者さんの情報確認と指導
- 15:00 カンファレンス(学生同士の意見交換をサポート)
- 17:00 学校に戻り、実習日誌の確認
- 18:00頃 退勤
より詳しい看護教員のスケジュールについては、こちらの記事でも紹介しています。
全体としては、比較的定時で退勤できることが多いのが実感です。ただし、講義の準備は勤務時間内だけでは終わらないことも多く、自宅に持ち帰って作業することも少なくありませんでした。
4. 看護師(臨床)と看護教員の違いを比較
看護師としての働き方と看護教員としての働き方は、同じ看護の仕事でありながら、日々の負担のかかり方や求められる力が大きく異なります。
| 比較ポイント | 看護師(臨床) | 看護教員 |
| メインの仕事 | 患者さんのケア | 学生の成長をサポート |
| 身体の負担 | 大きい(腰痛・不規則な勤務) | 少ない(デスクワーク中心) |
| 精神的プレッシャー | 命の危機への緊張感 | 成績や進路への責任感 |
| お休み | シフト制(平日休みが多い) | 土日祝休み(カレンダーどおり) |
身体的な負担は看護教員のほうが軽くなりやすい一方で、学生の成長や進路に対する責任感という、臨床とは異なる種類のプレッシャーがあります。どちらが優れているというより、負担の種類が違うと捉えるのが実態に近いでしょう。
5. 看護教員に向いている人の特徴
上記の比較を踏まえると、看護教員に向いている人には、次のような傾向があります。
逆に、患者さんへの直接的なケアそのものに強いやりがいを感じている方や、臨床現場のスピード感が好きな方にとっては、看護教員への転身がミスマッチに感じられる可能性もあります。どちらが正解ということではなく、自分がどちらの環境でやりがいを感じやすいかを基準に考えてみてください。
6. よくある質問(Q&A)
Q. 看護教員になるのに大学院への進学は必須ですか?
必須ではありません。5年以上の臨床経験があれば、教員養成講習会を受講するルートで看護教員になれます。大学院は、将来的に看護大学の教員や教授を目指す場合に近道となるルートです。
Q. 看護教員は看護師より給料が安いですか?
夜勤手当がなくなる分、月収だけを見ると下がるケースが多いです。ただし、ボーナスが安定していることや、勤務先(専門学校・短大・看護大学)によって年収の水準が異なることも踏まえて検討する必要があります。
Q. 看護教員の仕事は激務ですか?
講義がある日は比較的定時で退勤しやすい一方、授業準備や実習指導の記録など、勤務時間外に作業が発生することもあります。夜勤がない分、生活リズムは整えやすい仕事だといえます。
7. まとめ:未来の看護師を育てるやりがい
看護教員の仕事は、単に知識を教えるだけの仕事ではありません。昨日まで血圧測定すらおぼつかなかった学生が、実習を通して看護の面白さに気づき、目を輝かせる瞬間を、特等席で見守ることができます。これこそが、教員という立場でしか味わえない醍醐味だと感じています。
自分に教えられるだろうかと不安に感じる方も、心配しすぎる必要はありません。あなたが臨床で苦労した経験や、患者さんに喜ばれた経験こそが、学生にとって何よりの教材になります。
病院以外の働き方を知りたい方や、看護教員の求人がどこにあるのか分からないという方は、看護系の転職サイトや専門のキャリアアドバイザーに相談してみるのも一つの方法です。求人票だけでは分からない学校ごとの雰囲気や条件について、客観的な情報を得やすくなります。看護師としてのこれまでの経験を、次はどんな形で生かしていきたいか。この記事が、そのキャリアを考えるきっかけになれば幸いです。

