1.科目の目的
小児看護に必要な基礎的知識や理念を理解し、子どもとその家族を取り巻く環境・社会背景を踏まえて、成長・発達を支える視点をもった看護の基本を身につけることを目的とする。
2.到達目標
- 小児看護の理念や役割を説明できる。
- 子どもの成長発達や健康の特徴を理解し、ケアの視点に結びつけられる。
- 子どもと家族の権利を尊重した看護の基本姿勢を説明できる。
- 倫理的問題や社会的課題に対する看護の視点を理解できる。
- 小児看護の基盤となる保健・環境・社会制度を理解できる。
3.講義内容
第1回:小児看護の理念と対象
- 小児看護とは何か:定義、対象年齢、小児看護の意義
- 「子ども観」の変遷(財産・保護対象から権利主体への変化)
- 小児看護の理念:子どもの最善の利益、家族中心ケア、発達を支えるケアの視点
- 看護職として小児に関わる専門性と責任
第2回:子どもの成長と発達の理解
- 成長と発達の違い、評価の観点
- 発達段階(乳児・幼児・学童・思春期)の特徴と課題
- 発達に影響する要因(家庭環境、愛着、栄養、ストレス)
- 各発達段階における看護の配慮点と関わりの具体例
第3回:子どもの権利と小児看護の関わり
- 子どもの権利条約の概要と小児看護との関係
- インフォームド・アセントの重要性(説明と同意、表出の支援)
- 意思決定における親子の関係性と看護職の役割
- 実際の看護場面での子どもの権利尊重の具体例(説明、選択、参加)
第4回:小児の健康の特徴と保健活動
- 小児期に特徴的な健康課題(感染症、食物アレルギー、生活習慣病)
- 保健指導の視点(栄養、生活リズム、運動、メディア)
- 乳幼児健診や予防接種の仕組みとその目的
- 健康教育・予防活動における看護職の役割
第5回:小児を取り巻く家庭・地域・社会の環境
- 家族構成や養育環境の多様化(共働き、ひとり親、里親など)
- 地域資源と支援体制(子育て支援センター、保育園・学校)
- 医療・保健・福祉・教育分野の多職種連携
- 家族支援における看護の役割と連携の視点
第6回:子どもの事故予防と虐待対応
- 小児の発達段階に応じた事故の特徴と予防策(誤飲、転落、やけどなど)
- 安全教育の必要性と看護師の役割
- 子ども虐待の種類と徴候(身体的・性的・ネグレクト・心理的虐待)
- 虐待が疑われた場合の通報義務と支援体制(児童相談所など)
第7回:小児看護における倫理的課題
- 小児看護で直面する倫理的なジレンマ(治療拒否、代理意思決定など)
- 意思決定支援の考え方(親と子の対立、尊厳の尊重)
- 終末期にある小児のケアと家族への支援
- 看護職としての倫理的責任と実践例
第8回:子どもの社会的課題と制度
- 子どもの貧困と健康格差(医療アクセス、食事、教育機会)
- 障害や慢性疾患のある子どもと家族支援
- 社会的養護制度(児童養護施設、里親、ファミリーホームなど)
- 社会的課題に対応する看護の視点と実践の工夫
第9回:遊びと表現を活かした看護
- 遊びの発達的・心理的意義(安心、安全、自己表現の手段)
- 病院環境における遊びの工夫と支援(プレイルーム、プレイセラピー)
- 表現支援の実例(描画、ぬいぐるみ、パペットなどを通した心のケア)
- 子どもにとって「遊びがケアである」視点をもつ重要性
第10回:ケーススタディで学ぶ小児看護の視点
- ケース:「慢性疾患(例:小児糖尿病)をもつ学童期の子どもと家族の生活」
- 成長・発達、家庭背景、学校生活の視点からアセスメント
- 家族支援、自己管理支援、医療・教育連携のあり方
- 小児と家族に寄り添う看護実践の統合的理解
<ご注意>
- 教材の目的と活用方法について
本教材は、授業の「幹」となる設計を目的としており、貴校のカリキュラムや学習レベルに応じたアレンジを推奨しています。具体的には、スライドや板書の追加、発問の工夫など、先生ご自身の教育スタイルに合わせてご活用いただけます。 - AIツールを活用した資料作成について
本資料は、AIツールを活用して初稿を作成し、その後、看護教員としての経験や視点を反映させながら調整を加えています。効率化と質の両立を目指し、忙しい現場の先生方が実際に使用できる形に整えました。使用前に、内容やエビデンスをご確認いただき、授業内容に合わせた最終的な調整を行ってください。 - 商用利用の禁止
本教材は、商用目的での利用を禁止しています。教育現場での授業や学習支援を目的にご利用いただくことを推奨します。
【免責事項】
- 正確性と最新性の確認
本教材の内容には最大限の注意を払っておりますが、医学的・看護学的な情報は進展する可能性があります。最新のガイドラインや文献を参照し、実際の授業運営においては適宜確認・修正を行ってください。