看護教員にクラス担当は必要か? ―「不要」と考える3つの理由

看護教員の雑記blog

看護専門学校において、教員が「クラス担任(担任教員)」を受け持つことは当たり前のように行われています。学生指導や進路相談、生活支援にいたるまで、多岐にわたる役割を担ってきた担任制度。

しかし、教員の働き方改革や、教育の多様化が求められる今、「本当に担任は必要か?」と考え直す時期に来ています。

この記事では、看護教員としての現場経験をふまえ、クラス担任制度は“不要”であるという視点で、その理由を整理してみたいと思います。

「担任制」の本来の目的とは?

担任教員の主な役割としては、

  • 学習・生活・進路の相談窓口
  • 問題行動やメンタル不調の早期発見
  • 保護者・実習先との連携
  • 学生全体の統率・指導

などが挙げられます。いわば、学生の“何でも屋”として寄り添う存在です。

しかし、時代の流れとともに、これらの役割が担任一人に集中していることそのものがリスクとなってきています。

担任が「不要」であると考える理由

業務が属人化しすぎている

担任制では、学生の情報が担任一人に集中しがちです。すると、学生指導が属人化し、教員の異動・休職時に大きな支障が出ます。

チームで支える仕組みでなければ、教員も学生も孤立します。

責任が重すぎるわりに、成果が曖昧

担任は「学生を卒業まで導く」ことを求められます。しかし、その達成には家庭環境や個人差などさまざまな要因が絡みます。

にもかかわらず、学生の退学・問題行動は担任の責任とされる場面も多く、精神的・時間的負担が過剰です。

学生は“担任”よりも“複数の教員”を求めている

多様な価値観や背景を持つ学生にとって、「担任」という一人の存在にすべてを委ねるのは、むしろプレッシャーになることもあります。

実際、「〇〇先生には言えないけど、別の先生には相談できた」というケースはよくあります。一人の担任よりも、複数の教員のチーム支援体制のほうが、学生の安全網としても有効なのです。

新しい支援体制へ:チームアプローチのすすめ

担任を廃止しても、学生支援がなくなるわけではありません。

たとえば、

  • 各学年で担当教員チームを編成する
  • 進路、メンタル、学習支援をそれぞれ分担する
  • 情報は電子記録で共有し、誰でも対応できる体制を作る

といった方法で、教員の負担を分散しつつ、学生には安定した支援を提供することが可能です。

これこそが、これからの看護教育に必要な体制だと考えます。

まとめ:担任制度はもう「不要」では?

かつては担任制が最適だったかもしれません。しかし、看護教育の現場は変化しています。

「担任」という制度を手放すことで、教員も学生も、より自由に、安心して過ごせる学びの場が生まれる。

これが、私が現場で感じている率直な結論です。

制度を変えることは勇気がいりますが、「今までそうだったから」ではなく、「これからどうあるべきか」で考えることが、教育の本質だと思います。

あなたの学校では、担任制度についてどんな議論がありますか?
現場の声を大切に、これからの看護教育のあり方を一緒に考えていきましょう。