学生にも伝えたい「ライフプランとお金」の話

看護教員の資産形成

学生にも伝えたい「ライフプランとお金」の話

── 看護教員ができること

看護教員として日々学生と向き合っていると、ふと「この子たち、ちゃんと将来の生活のこと、考えられているのかな?」と思う瞬間があります。

就職のこと、結婚、子育て、働き方、老後のこと──
これから長い人生を歩んでいく彼らにとって、「お金」は避けて通れない大切なテーマです。

でも実際、学生たちはライフプランやお金のことについて学ぶ機会がほとんどありません。
そして、私たち看護教員も「教える場がないから…」と、どこか他人事にしてしまいがちではないでしょうか。

でも、だからこそ。少しでも学生たちに伝えていけるなら、それは教員としての大きな意味のある関わりになるはずです。 

なぜ今、「ライフプランとお金」が必要なのか

現在の看護学生たちは、これから少子高齢化・年金不安・非正規雇用の増加といった厳しい社会環境の中で生きていくことになります。

「正社員=一生安泰」でもなければ、「結婚すれば安定」でもありません。自分自身の力で、自分の人生を設計していく必要がある時代です。 

ライフプランとは、単なる貯金や節約の話ではなく、

  • どんな人生を送りたいのか
  • そのためにどんな働き方・暮らし方を選ぶのか
  • それにはどれだけのお金が必要か

を、自分で考えて選ぶことです。

この力があるかどうかで、将来の安心感も、選択肢の広さも大きく変わってきます。 

実際に学生に起きている「お金の困りごと」

実習指導や面談の中で、こんな学生の声を聞いたことはありませんか?

  • 「奨学金の返済が不安です」
  • 「将来ひとり暮らししたいけど生活できるか心配」
  • 「貯金の仕方がわからない」
  • 「親がお金に困っていて就職先を選べない」

これらは決して他人事ではなく、学生たちの「今」と「これから」に直結している大事なテーマです。知識がないまま社会に出てしまえば、不安や焦りを抱えながら生活することになりかねません。 

看護教員としてできること

「ライフプランやお金のことなんて、自分もよく知らない…」という方も多いと思います。
でも、専門家になる必要はありません。
まずは“話題にすること”“きっかけを作ること”だけでも大きな意味があります。

授業の中で話題にする

基礎看護、倫理、成人・老年・在宅など、どの科目でも「生活」「働き方」「価値観」といったテーマは出てきます。そのタイミングで「みんなはどんな人生を送りたい?」と問いかけてみるだけでも、学生にとっては大きな刺激になります。

就職・実習指導の延長として伝える

就職先を選ぶとき、給与や福利厚生も大事なポイントですよね。「なんとなく」で選ばないよう、ライフスタイルとの関係性を話してみると、より納得感のある選択ができます。

自分の経験を「少しだけ」シェアする

「先生も30代で初めて投資ってものを知って…」
「奨学金の返済、大変だったけどこう乗り切ったよ」
そんなリアルな経験談は、学生にとって非常に心に残ります。知識ではなく、“生きた声”として響かせられるのは、教員という立場だからこそできることです。

おわりに|知っているか知らないかで、人生は変わる

ライフプランやお金の話は、まだまだ「話しにくい」「教えにくい」テーマかもしれません。
でも、だからこそ、私たち教育者が少しずつ発信していくことが、学生たちの未来を守る大きな一歩になります。

「人生に必要なのに、誰も教えてくれなかったこと」──
それを少しでも埋めてあげられる看護教員でありたい。そう思っています。